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2025/05/30 16:22:13

米国際貿易裁判所、トランプ大統領の関税措置を違法と判断

この記事は最後に更新されました 2025/05/30 16:23:14

米国際貿易裁判所、トランプ大統領の関税措置を違法と判断

米国際貿易裁判所がトランプ関税に差し止め命令

米国際貿易裁判所は2025年5月28日、トランプ米大統領によって発動された広範な関税措置の大部分に対して違法との判断を示し、その実施を差し止めた。これは、トランプ氏が「解放の日」と称して4月2日に発表した対貿易相手国への新たな関税措置を無効とするものである。この判決は、トランプ政権の主要な経済政策に重大な打撃を与えるものと見られている。また、トランプ政権が発令してきた一連の大統領令の法的正当性に重大な疑問が投げかけられることになった。

判決の具体的な内容

今回の判決によって停止される関税措置の対象範囲は広範に及ぶ。具体的には、貿易相手国・地域に対する一律関税、中国を中心とする特定国への高率関税、さらに中国・カナダ・メキシコに対する合成麻薬フェンタニル関連製品への関税などが含まれる。これらの措置は、国際緊急経済権限法を根拠として実施されてきたものである。

ただし、判決の影響が及ばない関税も存在する。「通商拡大法232条」や「通商法301条」など、異なる法的根拠に基づいて鉄鋼・アルミニウム製品や自動車に課されている関税については、今回の判決によって変更が生じない。この区別は、政権が今後も一定の関税政策を継続できる余地を残すものと解釈されている。

政権側の反応

トランプ政権はこの判決を不服として、連邦控訴裁判所への上訴を予定している。訴訟は今後、連邦高裁を経て連邦最高裁判所にまで進む可能性もあり、最終的な決着には時間を要する見込みだ。

なお、ホワイトハウスのデサイ報道官は判決を受けて声明を発表し、「国家の緊急事態への適切な対処を判断するのは、選挙で選ばれていない判事の仕事ではない」と強く反論した。引き続き大統領権限の正当性を主張していく構えを見せている。

市場反応:ドルと株式先物が上昇

今回の判決の報道を受けて金融市場は敏感に反応した。米国株価指数先物は上昇し、S&P500種株価指数先物は一時1.3%高、ナスダック100指数先物は1.6%高となった。為替市場ではドル買いが進み、29日の東京外国為替市場では円相場が1ドル=146円台に下落した。一方、ニューヨーク市場の原油先物相場は1%高となるなど、商品市場にも影響が波及している。

トランプ大統領が今年4月2日に広範な関税措置を発表して以来、世界市場は大きな変動にさらされてきた。今回の判決は、こうした市場の不確実性を一時的に緩和する効果をもたらしたと分析されている。

今回の見通し

米国際貿易裁判所の判決は、トランプ氏による大統領権限の拡張的な行使に対し、司法が明確な歯止めをかけた格好となった。今後、連邦控訴裁を経て最終的に最高裁の判断が下される可能性もあり、関税政策の行方は引き続き不透明感を残す。

一方で、関税政策の見直しが現実味を帯びる中、米中関係やグローバルな貿易環境において一定の安定化を期待する声も出始めている。金融市場は当面、この司法判断とトランプ陣営の対応を見極める局面が続くと見られ、為替・株式・商品市場ともに神経質な展開が続く可能性がある。

よくある質問

Q1.米国際貿易裁判所とは?

A1.米国際貿易裁判所は、貿易・関税問題を専門に扱う連邦裁判所で、ニューヨークに所在する。主な役割は、関税分類や反ダンピング措置、貿易政策の合法性審査などだ。1980年に現在の形で設立され、政府の貿易措置に対する司法チェック機能を果たしている。

Q2.関税とは?

A2.関税とは、外国から輸入される商品に対して国が課す税金のことだ。簡単に言えば、「海外からモノを買って国内に持ち込むときに払うお金」である。

関税の目的:

  • 安い外国製品に頼りすぎると、国内の企業や農家が苦しくなるため、それを防ぐ。
  • 輸入品に課税することで、国の収入になる。
  • 他国との交渉材料として使われることも。

Q3.トランプ政権はなぜ「国際緊急経済権限法」を適用したのか?

A3.トランプ政権は、米国の「大幅かつ持続的な貿易赤字」が国家安全保障と経済への脅威だと主張し、同法を適用した。しかし裁判所は、貿易赤字は同法が想定する「緊急事態」に該当しないと判断した。

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