NAIRU（Non-Acceelerating Inflation Rate of Unemployment）は、日本語で「インフレ非加速的失業率」と呼ばれ、失業者の労働力参加率に対する割合であり、自然失業率を表します。これは一定水準で長期間維持される失業者の割合です。

短期間では、実際の失業率は景気やインフレ率の変動に影響を受けますが、自然失業率は長期的な失業率であり、インフレとは関係ありません。

NAIRUは、通貨膨脹率を維持する失業率の閾値と言えます。失業率が低下すると、通貨膨脹率が急速に上昇するという現象を指します。

失業率がNAIRUよりも低い場合、通貨膨脹率が上昇するとされています。イギリスの経済学者フィリップスは、通貨膨脹率と失業率の間にトレードオフの関係があると考えました。

一方、ミルトン・フリードマンは、長期的には通貨膨脹率に関係なく、失業率が一定の水準で安定すると考え、この種の失業率を自然失業率と呼びました。

ケインズも、非自発的失業は需要不足に起因すると考えていました。ケインズの考えに基づくと、政府の目標は需要を創出して非自発的失業を解消し、完全雇用を実現することです。