為替相場は、固定相場制と変動相場制の2つの主要な形態があります。

固定相場制は、通常、政府や中央銀行が為替相場を一定の値に固定または制限する制度です。昔は、例えば、1ドル＝360円のように、特定の通貨同士の交換レートが固定されていました。この制度のメリットは、貿易が安定することです。通貨の価値が変動しないため、輸出入業者は将来の取引における価格の不確実性が少なくなります。しかし、固定相場制では、相手国の金利や経済状況に左右されることがあります。例えば、米ドルを固定している国は、米国が金利を引き上げると追随して金利を上げる必要があります。

一方、変動相場制は、市場の需要と供給に応じて為替相場が自由に変動する制度です。この制度のメリットは、市場の力によって為替相場が調整されるため、経済の変化に柔軟に対応できることです。しかし、変動相場制では、輸出入業者や投資家が為替リスクを抱えることになります。自国通貨が強くなると輸出が減少し、逆に弱くなると輸出が増加するため、輸出入業者は市場の変動に適応する必要があります。

また、変動相場制では、国の金融政策の独立性が保たれます。自国の金融政策は、国内の経済状況や目標に基づいて決定され、外部の要因に左右されることはありません。これに対し、固定相場制では、相手国の金利動向に追随する必要があるため、自国の金融政策の独立性が損なわれる可能性があります。

要するに、固定相場制と変動相場制にはそれぞれメリットとデメリットがあります。政府や中央銀行は、国内の経済状況や国際的な状況を考慮して、適切な為替制度を選択する必要があります。