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2025/06/23 17:31:14

FRB、政策金利を据え置き、利下げ観測に慎重姿勢

FRB、政策金利を据え置き、利下げ観測に慎重姿勢

4会合連続で利上げ見送り、インフレ警戒で慎重姿勢維持

米連邦準備理事会(FRB)は、2025年6月17〜18日に開催された米国連邦公開市場委員会(FOMC)において、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を現行の4.25〜4.50%に据え置くことを全会一致で決定した。これは1月以降、4会合連続の据え置き措置であり、物価上昇(インフレ)の再燃リスクへの対応として、慎重な政策運営を継続している姿勢を示した。

パウエル議長は、「誰かが関税のコストを負担しなければならない」と述べ、製造業者・輸出入業者・小売業者などを経由し、最終的には消費者がその一部を背負う可能性が高いとの見方を示した。このため、今後の数カ月間でインフレ率の上昇が明確化するまで、利下げの判断は見送るのが賢明だと語った。

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関税インフレが懸念材料に、利下げ時期は不透明感

今回の据え置きの背景には、トランプ政権による追加関税措置の影響がある。FRBのパウエル議長は記者会見で「夏にかけて、関税によるモノのインフレがさらに顕著になる可能性がある」と発言した。高関税を課された商品が市場に流通し始めれば、価格上昇圧力が強まり、政策金利の変更には慎重な判断が必要となるとした。

さらに、最新のFRB当局者による金利・経済見通しでは、年内に合計0.5%の利下げが実施されるとの中央値が示される一方で、「利下げは不要」との見方を示した当局者の数が、前回3月の4人から7人に増加した。利下げを巡る見解の分裂が表面化した格好だ。

景気見通しは下方修正、物価上昇は高止まり

FRBが発表した最新の経済見通しによれば、2025年の米国GDP成長率は1.4%へと下方修正された。一方、FRBがインフレ指標として重視するPCE価格指数は、2025年末に3.0%、2026年末に2.4%、2027年にようやく2.1%に低下すると予想されている。インフレ抑制には時間がかかる見通しだ。

失業率については、2025年末に4.5%と予想されており、3月時点の4.4%からやや上昇した。経済の減速とインフレ圧力が同時進行する「スタグフレーション」の懸念も根強い。

「すべてはデータ次第」 FRBの柔軟姿勢

パウエル議長は、記者会見の中で「金利の道筋について強い確信を持っている者はいない」と強調し、「すべては今後の経済指標次第だ」と慎重な立場を繰り返した。現在の低インフレ指標が続けば、関税がなければ利下げも視野に入った可能性があるとする一方で、物価上昇が進めば引き締め政策の継続も否定できないとした。

市場参加者の間では、早ければ年内のどこかの時点で利下げが開始されるとの見方が依然根強い。ブランディワイン・グローバルのジャック・マッキンタイア氏は、「FRBは今も忍耐強く、近いうちに利下げ方向に傾く」と述べた。ただし、FRBのスタンスは現時点では「調整よりも情報収集を優先する」姿勢であり、予断は禁物だ。

中東情勢とエネルギー価格への警戒も

今回の声明では、イスラエルとイランの軍事的緊張や原油市場への影響には直接言及されなかったが、パウエル議長は「こうした地政学的リスクも注意深く見守っている」と述べた。エネルギー価格の上昇は一時的であることが多く、長期的なインフレには繋がらないとの見解を示した。

今後の見通し

今回のFOMCでは「データ依存」アプローチがこれまで以上に強調されたが、これは逆に言えば、FRB自身が経済の先行きに対する不確実性を強く認識している証左でもある。市場参加者は、単なる利下げタイミングの予想だけでなく、FRBが直面する政策ジレンマの深さを十分に理解する必要があるだろう。特に、関税と金融政策の相互作用が今後の米国経済に与える影響は、従来の景気循環モデルでは捉えきれない新たな課題を投げかけている。

よくある質問

Q1.米連邦準備理事会(FRB)とは?

A1.米連邦準備理事会(FRB)は、アメリカの中央銀行制度を統括する機関で、金融政策の実施、銀行監督、金融システムの安定維持などを担う。主な目的は、物価の安定、最大雇用の実現、適度な長期金利の維持で、政策金利の調整や市場操作を通じて経済の健全な成長を支える。

Q2.米国連邦公開市場委員会(FOMC)とは?

A2.米国連邦公開市場委員会(FOMC)は、米連邦準備理事会(FRB)による金融政策の中核を担う機関で、政策金利の決定や量的緩和などを通じて、物価の安定と雇用の最大化を目指す。年8回定期的に会合を開き、経済・金融情勢を踏まえて金利誘導目標などを決定する。

Q3.インフレとは?

A3.インフレ(インフレーション)とは、物価が継続的に上昇し、貨幣の価値が下がる現象を指す。一般的に需要の増加やコスト上昇、通貨供給の拡大などが原因となり、生活必需品からサービスまで広範囲に影響を及ぼす。適度なインフレは経済成長を促進するが、過度になると家計の負担が増し、購買力が低下するため、中央銀行は金融政策でコントロールを図る。

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